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敗血症関連脳症(SAE)の修正可能な要素

Potentially modifiable factors contibuting to sepsis-associated encephalopathy

Intensive Care Med (2017) 43:1075–1084

Abstract
◯目的
敗血症関連脳症(SAE)の修正可能な要素を同定することで患者のケアとアウトカムを改善する。
◯方法
前向きの多施設データベースの後ろ向き解析を行った。SAEはGCS<15またはせん妄の徴候がみられる時と定義した。ICU入院時の修正可能なリスクファクターは多変量ロジスティクス回帰分析で、死亡に対する影響はコックス比例ハザードモデルで解析された。
◯結果
CUで敗血症患者2513人がI組み入れられ、1324人(53%)がSAEを発症した。ベースラインの特徴、感染部位、入院形態を調整した後、以下の要素が独立してSAEと関連していた。急性腎不全(adjusted odds ratio (aOR) =1.41, 95% confidence interval (CI) 1.19–1.67)、低血糖<3mmol/L(aOR =2.66, 95% CI 1.27–5.59)、高血糖>10 mmol/l (aOR = 1.37, 95% CI 1.09–1.72)、高二酸化炭素血症 >45 mmHg (aOR = 1.91, 95% CI 1.53–2.38)、高ナトリウム血症>145 mmol/l (aOR = 2.30, 95% CI 1.48–3.57)、S. aureus (aOR = 1.54, 95% CI 1.05–2.25)。SAEは高い死亡率、高いICU資源の使用、長期病院滞在と関連していた。年齢、併存疾患、入院年、非神経学的SOFAスコア、意識の軽度変容(GCS=13-14)は依然として独立して死亡率と関連していた(adjusted hazardratio = 1.38, 95% CI 1.09–1.76)
◯結論
急性腎不全やよくある代謝異常はSAEの修正可能な要素であった。しかしながら、真の原因となる関連は示されていない。この研究では敗血症患者の精神状態の軽度の変容の予後に関する重要な要素を確認した。
 
◯感想
 SAEというまだよくわかっていない疾患群に対する後ろ向きではあるが大規模研究。疾患の定義自体が曖昧であるため交絡因子を否めない。今後の研究が期待されます。