集中治療を勉強

集中治療をメインに医学知識の備考録です。

CABGのグラフト採取方法のRCT(endoscopic vs open)

Randomized Trial of Endoscopic or Open Vein- Graft Harvesting for Coronary-Artery Bypass
the Randomized Endovein Graft Prospective (REGROUP) trial
NEJM
Abstract
◯背景
・大伏在静脈グラフとはCABGでもっともよく使用される
・静脈グラフとの採取方法が臨床的長期予後に与える影響はよくわかっていない
◯方法
・16のVeterans Affairs cardiac surgery centersでCABGを受ける患者をopen or endscopicでの静脈グラフと採取にランダム化
・primary outcome→composite of major adverse cardiac events, including death from any cause, nonfatal myocardial infarction, and repeat revascularization
・leg-wound complicationsもまた評価された
◯結果
・n=1150
・follow up中央値の2.78年で、the primary outcome→open群では89人(15.5%) 、endoscopic群では80人(13.9%)(hazard ratio, 1.12; 95% confidence interval [CI], 0.83 to 1.51; P=0.47).
・死亡→openで46人(8.0%)、endoscopicで37人(6.4%)(hazard ratio, 1.25; 95% CI, 0.81 to 1.92)
心筋梗塞→openで34人(5.9%)、endoscopicで27人(4.7%)(hazard ratio, 1.27; 95% CI, 0.77 to 2.11)
 ・revascularization→openで35人(6.1%)、endoscopicで31人(5.4%)(hazard ratio, 1.14; 95% CI, 0.70 to 1.85)
・Leg-wound infections→openで18人(3.1%)、endoscopicで8人(1.4%)(relative risk, 2.26; 95% CI, 0.99 to 5.15)
◯結論
・CABGを受ける患者で、openとendoscopicな静脈採取法で主要心イベントに有意差は認めなかった
 
最大規模のRCT。手技なので盲検化は難しいがそれ以外はちゃんとしたデザイン。長期フォローアップとして2.78年が適切かどうかは不明ですが。
内視鏡的に採取するのは聞いたことはあったけどアメリカではほとんどそうだなんて知らなかった。確かに2018年のESC/SACTSガイドラインでも推奨しているし世界では当たり前の手技なのなか。麻酔は門外漢で実際の手技は見たことないですが。
先行研究は観察研究やRCTの2次解析がメイン。結論もoutcomeに差がなかったり、endoscopicの方がgraft patencyが低下したり様々。wound complicationが減ることでは一致しているみたいです。
このRCTを受けて更に推奨されるんでしょうね。今回のRCTでは有意差はつかなかったけど先行研究や、もう少しで有意差がでそうな今回のRCTからwound complicationは確実に減らすだろうし。