集中治療を勉強

集中治療をメインに医学知識の備考録です。

心原性ショックのAMI患者に対するIABPのRCTの長期フォローアップ

Intraaortic Balloon Pump in Cardiogenic Shock Complicating Acute Myocardial Infarction
Long-Term 6-Year Outcome of the Randomized IABP-SHOCK II Trial
Circulation. 2019;139:395–403.
Abstract
◯背景
・心原性ショックにおけるIABPはIABP-SHOCKⅡ trialで結果として国際ガイドラインはdowngradingとなった中立な結果にも関わらず依然として議論の的である
・急性心筋梗塞を合併した心原性ショック患者の長期clinical outcomesについてIABPのインパクトに関するランダム化データは欠けている
・加えて、現代のpracticeで治療された心原性ショック患者の一般的な長期予後に関してエビデンスは限られている
◯方法
・IABP-SHOCKⅡ trialは多施設、ランダム化、オープンラベル研究
・2009〜2012年に、急性心筋梗塞で早期revascularizationをうけた心原性ショック患者600人がIABP or controlにランダム化
◯結果
・最初のランダム後6.2 years (interquartile range 5.6–6.7)で長期フォローアップが行われた
・フォローアップは591/600人(98.5%)であった
・死亡率はIABPとcontrol群で有意差なし(66.3% versus 67.0%; relative risk, 0.99; 95% CI, 0.88–1.11; P=0.98)
・以下についても有意差なし→recurrent myocardial infarction, stroke, repeat revascularization, or rehospitalization for cardiac reasons (all P>0.05)
・生存者のthe EuroQol 5D questionnaire and the New York Heart Association classで評価したQOLも有意差なし
◯結論
・IABPは6年の長期フォローアップでの全死亡率に関して効果をもたらさなかった
・死亡率は依然高く、revascularization therapyなどを含めた現行の治療を行っても心原性ショックの患者は2/3が死亡する
 
心原性ショック患者へのIABPが効果がないのではと結論付けた大規模RCTの長期フォローアップ。元々計画されていなかった長期フォローアップです。高リスクPCI患者への予防的IABPのRCT(BCIS-1)の長期フォローアップではIABP群で死亡率が有意に改善していたため今回の結果がどうなるか気になりました。結果は死亡率改善せず。
IABP SHOCK-2で欧米のガイドラインで心原性ショック患者に対するIABPの推奨が下がりました。今回の結果を受けても特に変化はないでしょう。ただ、長期フォローアップでも死亡率を改善しなかったためより心原性ショック患者に対するルーチンでのIABP使用の妥当性は減少するでしょう。