集中治療を勉強

集中治療をメインに医学知識の備考録です。

Cardiac ICUにおけるintensive insulin therapyの有用性

Lower Glucose Target Is Associated With Improved 30-Day Mortality in Cardiac and Cardiothoracic Patients
CHEST 2018; 154(5):1044-1051
Abstract
◯背景
・practical guidelinesでは重度の低血糖が高い比率で起きたtrialsから重症患者に対してintensive insulin therapyを非推奨としている
・Intermountain Healthcareはコンピューター化されてIV insulin protocolを使用することで血糖値ターゲット(80-110 vs 90-140 mg/dL) を選択して、重度低血糖をおこす比率が少ない
・重度低血糖がvery low rateのcardiac ICUsにおける成人患者の血糖値ターゲットの効果を研究するため
◯方法(後ろ向き研究)
・IV insulinを受けている重症患者を2つのターゲットのどちらかで治療した(80-110 vs 90-140 mg/dL)
・臨床家の選択に影響を与えと考えられる因子を使用して血糖値ターゲットのpropencsity scoreを作成し、30日死亡率についてpropensity score-adjusted regression analysisを行った
◯結果
・1809人がinclusion criteriaを満たした
・baselineは同等
・Median glucose→the 80-110 mg/dL群で低い(104 vs 122 mg/dL, P < .001)
・重度低血糖は両群でvery low rates(1.16% vs 0.35%, P= .051)
・非調整30日死亡率はthe 80-110 mg/dL群で低い(4.3% vs 9.2%, P < .001) 
→propensity score-adjusted regression後でも変わらない (OR, 0.65; 95% CI, 0.43-0.98; P=.04)
◯結論
・cardiac ICUsにおける多くの患者のcohortで、tight glucose controlにより重度低血糖のlow ratesを達成でき、30日死亡率の低下と関連していた。
・現在のところはこの所見は使用できないが、tight glucose controlの使用は重度低血糖の比率が少ないprotocolを使用して再検証されるべき。
 
重症患者の血糖管理についてはNICE-SUGARである程度結論づいたかと思っていたがそれに対する問題提起を投げかける研究。後ろ向き研究であるしエビデンスの質は低いものの、コンピューター管理された血糖管理という新しい管理方法を提示している。ここらへんは流行りのAIとか持続血糖測定器なんかと組み合わせるとより高い精度で管理できそう。血糖管理だけでなく、血中濃度の管理が必要な薬剤なんかは同様の手法が取れるしICUではニーズも高いと思う。
どの科でもそうであるが特にcritical careでは従来の常識が一変することがよくあり新しい情報の取得は非常に大事だと思います。