集中治療を勉強

集中治療をメインに医学知識の備考録です。

Update in Critical Care 2016

Update in Critical Care 2016
Am J Respir Crit Care Med Vol 196, Iss 1, pp 11–17, Jul 1, 2017
AJRCCMの集中治療Up to date
気になる所のみまとめてみました。参考文献はAJRCCMに偏りがちです。
印象としては、HFNCの台頭とAKIが面白かったです。Sepsis-3が今後どうなっていくかも注目です。
 
◯Oxygenation during intubation and mechanical ventilation
・単施設ランダム化オープンラベルトライアル→挿管中にHFNCを使用した無呼吸酸素化は、酸素化なしと比較するとデサチュレーションの程度やSpO2<80%の割合の減少はなかった(Am J Respir Crit Care Med 2016;193:273280.)
・再挿管リスクの少ない患者で、HFNCを抜管後24時間以内に装着すると従来の酸素療法群と比較して有意に再挿管率を下げた(4.9 vs. 12.2%)(JAMA2016;315:13541361.)
・再挿管率がハイリスク患者では、HFNCを抜管後24時間以内に装着する群はNIVの使用と比較して再挿管の予防は非劣性(22.8 vs. 19.1%)(JAMA 2016;316:15651574)
→再挿管の低リスク、ハイリスクでの再挿管予防に重要かも
・人工呼吸管理中の酸素目標は依然として議論
conservative oxgen strategy(SpO2=88-92%) vs liberal(>95%)では人工呼吸管理中ではconservativeが適している。臓器不全や死亡率に差はなし(Am J Respir Crit Care Med 2016;193:4351.)
◯Infection and Organ Dysfunction
Acute Kideny Injury
・2つの研究が重症AKIに対するRRTの最適な開始タイミングを示しているが、対照的な結果となっている。
・ELAIN study→早期のRRT開始は晩期のRRT開始よりも90日死亡率を有意に改善する(JAMA 2016;315:21902199)
・AKIKI study→早期と晩期で60日死亡率に差はなし。晩期については腎機能回復のため50%のケースではRRT回避できた(N Engl J Med 2016;375:122–133.)
→ELAINは小規模単施設研究であること、2つの研究はAKIのステージについて異なったinclusion criteiriaを用いていることが結果の差異に繋がったかもしれない。
Sepsis Epidemiology
・新しいSepsis-3の定義→"life-threatening organdysfunction due to a dysregulated hostresponse to infection”(JAMA 2016;315:801810.、JAMA 2016;315:775787.)
・有効性を検討した2つの米国でのコホート研究(JAMA 2016;315:762774.)
Infection Treatment and Outcomes
・オープンラベル多施設研究(n=1575)で、プロカルシトニンガイドの治療は抗生剤投与治療期間と、全体の抗生剤曝露を減少させた( Lancet Infect Dis 2016;16:819827.)
・ProCeSS studyの補助的なstudyとして、敗血症性ショック患者でのAKIの進展について補液療法の有効性を検討→AKIの進展、RRTの使用、腎機能の回復に有意差なし(Am J Respir Crit Care Med 2016;193:281–287. )。3/4が入院時や入院後すぐにAKIを発症しており、そもそも敗血症ショックでAKIの予防は不可能ではないか(Am J Respir Crit Care Med 2016;193:232–233.)
・最も効果的な抗生剤の量や投与方法は不確か。
→severe sepsisでのindividual patient metaanalysis(n=632)で、研究間の異質性を調整して多変量解析を行いβラクタム抗菌薬の持続投与は間欠投与と比較して院内死亡率は同等(Am J Respir Crit Care Med 2016;194:681691.)
・カンジタ菌血症については、ICU-aquired sepsisで複数の部位からカンジタが検出され多臓器不全に陥っている非易感染性の患者で経験的なミカファンギン治療を14日間行ったプラセボ試験で、28日での生存と侵襲的真菌感染がないとのprimary outcomeは有意差なし(JAMA 2016;316:15551564.)
◯Long-Term Outcomes
Muscle and Bonse
・critical illnessの骨量や骨代謝に対する影響は不明
ICU survivorsの1年間フォローのコホート研究で、大腿骨頸部と脊椎の骨密度はmatched contorol subjectsと比較して有意に減少(Am J Respir Crit Care Med 2016;194:821830.)
Physical Therapy
・筋萎縮と筋力低下に対抗するために、physical therapyがICUで早期に組み込まれている
→ランダム化研究(n=120)でランダム化後28日間で集中的なリハビリと標準的なリハビリを比較して退院後6ヶ月の機能予後を比較。1、3、6ヶ月の機能予後は変わらず、他のsecondary outcomeも差はなし(Am J Respir Crit Care Med2016;193:11011110.)。人工呼吸管理開始後からリハビリがスタートしたため、効果が減弱したのではないか(AmJ Respir Crit Care Med 2016;193:10711072.)

敗血症関連脳症(SAE)の修正可能な要素

Potentially modifiable factors contibuting to sepsis-associated encephalopathy

Intensive Care Med (2017) 43:1075–1084

Abstract
◯目的
敗血症関連脳症(SAE)の修正可能な要素を同定することで患者のケアとアウトカムを改善する。
◯方法
前向きの多施設データベースの後ろ向き解析を行った。SAEはGCS<15またはせん妄の徴候がみられる時と定義した。ICU入院時の修正可能なリスクファクターは多変量ロジスティクス回帰分析で、死亡に対する影響はコックス比例ハザードモデルで解析された。
◯結果
CUで敗血症患者2513人がI組み入れられ、1324人(53%)がSAEを発症した。ベースラインの特徴、感染部位、入院形態を調整した後、以下の要素が独立してSAEと関連していた。急性腎不全(adjusted odds ratio (aOR) =1.41, 95% confidence interval (CI) 1.19–1.67)、低血糖<3mmol/L(aOR =2.66, 95% CI 1.27–5.59)、高血糖>10 mmol/l (aOR = 1.37, 95% CI 1.09–1.72)、高二酸化炭素血症 >45 mmHg (aOR = 1.91, 95% CI 1.53–2.38)、高ナトリウム血症>145 mmol/l (aOR = 2.30, 95% CI 1.48–3.57)、S. aureus (aOR = 1.54, 95% CI 1.05–2.25)。SAEは高い死亡率、高いICU資源の使用、長期病院滞在と関連していた。年齢、併存疾患、入院年、非神経学的SOFAスコア、意識の軽度変容(GCS=13-14)は依然として独立して死亡率と関連していた(adjusted hazardratio = 1.38, 95% CI 1.09–1.76)
◯結論
急性腎不全やよくある代謝異常はSAEの修正可能な要素であった。しかしながら、真の原因となる関連は示されていない。この研究では敗血症患者の精神状態の軽度の変容の予後に関する重要な要素を確認した。
 
◯感想
 SAEというまだよくわかっていない疾患群に対する後ろ向きではあるが大規模研究。疾患の定義自体が曖昧であるため交絡因子を否めない。今後の研究が期待されます。