集中治療を勉強

集中治療をメインに医学知識の備考録です。

頭部外傷に対するトラネキサム酸のRCT

Effects of tranexamic acid on death, disability, vascular occlusive events and other morbidities in patients with acute traumatic brain injury (CRASH-3): a randomised, placebo-controlled trial

JAMA

○PICO

P:no major extracranial bleedingでCTで頭蓋内に出血があるまたはGCS≦12で受傷後3時間以内の成人
→もともとtime windowが8hであったが2016年にプロトコルが変更して3h以内に
 
I:tranexamic acid (loading dose 1 g over 10 min then infusion of 1 g over 8 h)
O:primary outcome→injury-related death in hospital within 28 days of injury in patients treated within 3 h of injury.
・感度分析→GCS=3で対光反射がない患者を除外して行った
 
外傷診療に大きな影響を与えたCRASH-2の後続のCRASH-3。頭部外傷に対するトラネキサム酸の有効性を検討したRCT。試験のデザインは申し分なく除外や脱落もほぼなく内的妥当性はある程度保っているRCT。途中でinclusion criteriaが一部変更になっていること、サンプルサイズ計算のNに達していないことは考慮すべきであるが。
結果はprimary outcomeは有意差なし。感度分析でより重症の患者を除いてもギリギリ有意差なし。
それ以外ではmild-to-moderate TBI(GCS=9-12)の患者においては28日の外傷関連死亡率を有意に減らしている。
また、2019年8月にプレホスピタルでのトラネキサム酸投与のstudyとのメタアナリシス(GCS=3で対光反射がない患者を除外)では28日の外傷関連死亡率を有意に減らしている。
少なくとも、primary outcomeとほぼそれに付随する感度分析でも有意差はでていないためCRASH-2ほど明日の診療にインパクトを与える影響はない。CRASH-2同様にこれ以上の大規模RCTはおそらく出現しないことを考えると頭部外傷に対するトラネキサム酸投与に対するエビデンスはある程度固定化した印象である。実診療であればGCS=9-12の頭部外傷なら投与してもいいけど。。。となりそう。